冷たい水を泳ぐわけ

投稿日:2015年10月18日

今年も9月に入り、釣りの最終月。締め括りに行かねばならない。産卵時期の雌を狙って遡上してきた大イワナの雄、河岸段丘に鎮座したミズナラの根元に門兵の様に立ち並ぶマイタケ…。どこに出かけるか、この時期、釣り人は同じ想いに楽しく頭を悩ます。

釣りの相棒は、会の最古参にして一番の若手、巨体ながら竿さばきは繊細にして技巧的、源水会のマツコデラックスこと正樹。天気が味方すれば、鬼に金棒なのだが。今朝は雨だ。おまけに関東ナンバーの釣り人に、地元ナンバーのマイタケハンターが先客としてごっそり。車止めは一杯だ。

悪い道は大雨でさらに荒れているが、大勢の人が入ったお陰で踏み跡ははっきりしている。崖を横切る道から下を覗くと、川は少し増水した程度か。2時間と少しで、いつもの快適テン場。本当はこの先のテン場を基地に、その奥のイワナを狙いたいところだが、先行するパーティも同じ計画らしいので、楽チン釣行に変更。雨なので、本流イワナに期待したのだが、軟弱釣り人には幸運はない。今晩のおかずに困って、枝沢に入り8寸を数尾釣らせてもらいキープ。帰り道にマイタケを探すも収穫なし。これが正しい釣りの掟、と負け惜しみをひとくさり。

二日目。晴れ時々曇り。天気も上向き、気分もちょっぴり上向き。まずは渡渉、水は思いのほか冷たくない。むしろ心地いい。河岸段丘に上がり、マイタケ探し。確か晃さんが去年収穫したはずと。しばらくでクロマイに当たる。もう少し進んで、崖の根の間にシロマイ。その先で正樹がクロマイとシロマイの混生を見つける。お陰で空のザックは膨らみ、今晩はマイタケの天ぷらが食える。次は釣りだ。本流を渡り返すのだが、ここは見た目より深かった。流されまいと泳ぐ、泳ぐ、得意の平泳ぎで。ロープは家に置いてきたし。こんな山奥そのまた奥、冷たい水を必死で泳ぐ、何が楽しくて。俺にもさっぱり分からないが。

渡渉した先で枝沢のF1を狙う。正樹がF1手前で泣き尺サイズ1、F1で尺上1。まだ2~3匹居るとの正樹の言。俺が投餌するとすぐに強い引きがあって、44cm。期待は99回裏切られても、その次にはご褒美が。街の理屈は分からんが、山の理屈は簡単だ。こんな山奥の沢筋にも真新しい踏み跡が続く。車止めの主たちがマイタケ探しに入ったのだろう。彼らも、背負いきれないマイタケの収穫に、きっと笑ったに違いない。

(2015年秋の大会2位の報告。文責:たもさん)